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近年持ち家志向の世代がどんどん減っている理由とは

2020年01月22日

日本では所得が増えた1970年代から1980年代にかけて、若年層の持ち家志向が強くなった時代があります。この時代には全国各地で建売住宅が販売され、また家を建てるために山間部を切り開き大規模なニュータウン建設が行われるなどして、その需要に応えてきたものです。しかし、このような住宅の売り手市場といった状況は現在では鳴りを潜めており、反対に若年層の持ち家率の低下が見られるように住宅を購入しようという人は減る傾向にあります。

持ち家率が低下する理由としては意識の変化のほか、そもそも購入できるだけの収入がない、また未婚者の増加といった理由が考えられます。
意識の変化は、収入とリンクしているものです。1990年代初頭まで信じられてきた終身雇用というものがバブル経済の崩壊とそれに伴う長期の不景気によって崩壊し、定年退職の年齢近くまで多額の住宅ローンを組む事に不安を覚える人が増えた事や、そもそも若年層が正社員として雇用される機会が減り、多くの人が非正規雇用となってしまって、収入の安定性が失われた事で住宅ローンをそもそも組めないとった事が考えられるものです。

それに非正規雇用でなくても正規社員であっても、グローバル経済によって多様な働きを求められ、転勤する機会も多くなり安定してその場所に住み続けるということが出来なくなり、移動することができない持ち家よりも、賃貸物件で間に合わせた方が効率的とも言えます。

また平成時代の長期にわたる不景気とそれに伴うデフレ経済は物の価値といった意識の変化を起こし、それまで土地の価値は上がり続けるものと考えられてきたものが、そうではなくなった事や住宅供給が飽和状態となり中古物件として建物を売るにしても、その価値がほとんどなくなった事なども、若年層の持ち家志向を低下させる理由となっています。

このほか少子化も住宅を持たない理由となりえるものです。たいていの場合には子供を育てるためにはマンションやアパートよりは一戸建ての方が都合が良いもので、多くの人は自分のために住宅を購入するのではなく家族のために購入するというのが大きな動機となります。このような動機がなくなれば、わざわざ住宅を購入する必然性はなくなりますし、独り身であれば引越しも容易にできるので、賃貸物件の方が都合が良いものです。このような若年層が増えたことによっても、持ち家を購入する数は低下する理由ともなっています。